Xmajor blog

Xmajor の活動の記録や,メンバーが考えていること,メンバーの素顔(?)などを綴っていきます!

Turning! 【卒業文集② 木下浩之】

木下です.Xmajorメンバーは修士で卒業する人が多いですが,僕は学部の卒業です.でも,大学に入学したのは彼らと同じ年だったりします.ということは,つまり,そういうことです.

そんな僕の書くことですから,ちゃんとした方々の参考になるかどうか分かりません.ですが「多様性」というXmajorが大事にしている言葉を盾に,好き勝手に書いてみようと思います.

 

■学生生活のターニングポイント

これはたくさんありました.言い換えれば,決定的なものはありませんでした.

思いつくままに列挙してみると,いくつかの学生団体への参加,いくつかのNPO法人の活動への参加,能力開発系のプログラムへの参加,ITベンチャーの方々との出会い,イベントの企画,このXmajorの立ち上げ,大学の組織でのインターン,何人かの先生との出会い,などなど.この中で優劣はつけられません.一つ一つは決して小さくないですが,いずれも<ワン オブ ザ ターニングポインツ>でした.

「ターニングポイント」と聞くと,僕などはつい小説なんかにありそうな「劇的な何かでなければならない」と思ってしまいます.ですが,僕には訪れませんでした.むしろ,そこそこのターニングポイントがたくさんあったことを嬉しく思っています.

さて,決定的に重要なものを選ぶことはできないのですが,一つくらいは例を挙げてみたいと思います.一連のターニングポインツの起点となった<ファースト ポイント>です.

それは大学2回生,ちょうど20歳の誕生日を迎えたときでした.そのころ僕はサークルにも入らず,学部にも興味を失くして(反発して?),バイト浸けの毎日を送っていました.それなりに楽しいつもり,だけどどこか不満.満たされない.やりがいがあるような,ないような… ビジネス誌や自己啓発系の本を読んだりしては「自分も何かしたい!」「機会があれば何でもしてやる」と思っているくせに,想いと言葉と行動が全部バラバラで,実際は何もしていない自分が嫌でした.

そんなときに迎えた20歳の誕生日,木屋町のバイト先でテキーラ諸々をありがたく頂いて酩酊する一方で,一つのことを決めました
「失うものなんてない.失敗してもいいから,とにかく行動しよう.」

これがファーストポイントでした.この後,急に何かが変わったということはありません.ですが,誘われたことは,それも何かの縁だと思って参加するようになりました.些細な変化でした.とある学生団体に関わるようになりました.行動する場所が変わり始めました.変化が変化を呼びました.

もちろん,いいことばかりではありませんでした.嫌なこと,悔しいこと,苦い経験,後味の悪いこともありました.でも,ようやく失敗することができました.バッターボックスに立ったからこそ,三振することもできました.

静止しているものを動かすのには大きな力がいるけれど,動いているものに変化を与えるのは簡単です.振り返って見ると,この変化の連鎖がたくさんのターニングポインツになっていました.そして今もその途上にいます.

 


■自分にとって大学とは何だったか

僕にとっての大学という存在の意味は,入学以来めまぐるしく変化してきました.時系列に並べると,
あこがれ → 幻想 → 束縛 →→→ ちょっと可能性 → 大きな可能性 → 自由
という感じです.したがって今はとても充実しています.Xmajorは,「ちょっと可能性」から「大きな可能性」への過渡期に生まれました.その後,「幻滅」や「茫然自失」とかにならなくて良かったです.

深くは触れませんが,こうして並べてみると,これは自分自身のあり方をそのまま反映していたのだと思えてきます.さきに挙げたファースト ターニングポイントは,ちょうど「束縛」の段階でした.ここからサム ターニングポインツがあって,「ちょっと可能性」にたどりつきました.

 

(以下,2/18 14:30加筆)

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上で,「Xmajorは,「ちょっと可能性」から「大きな可能性」への過渡期に生まれました.」と書きました.この辺りをもう少し補足したいと思います.

 

僕がたしか4回生のとき,NHKで『ハーバード白熱教室』を観ました.マイケル・サンデル教授の政治哲学の授業1000名ほどの学生が詰めかけます.驚いたのは,それだけの人数の中で学生が質問に対して意見を述べ合い議論をしているということ.テレビの編集にもよるのでしょうが,学生・教授両者の授業に対する真剣で積極的な姿勢に感動しました.こいつら(失礼)はこんな環境で学んでいるのか.これだから強くなるのか.うらやましい…

 

いや,ちょっと待て.こいつらだってオレと同じくらいの歳だ.ただの学生だ.うちの大学でもこれくらい出来ていいじゃないか.こんな雰囲気があってもいいじゃないか.できないわけがない.雰囲気なんてのは会話環境だ.自分の周りでそんな会話環境を作っていけばいいじゃないか.

 

僕がXmajorをやってきた背景にはこんな気持ちがありました.討論会から始め,Liberal Arts Programをやり,Xstudyができました.気がつけば会話環境が育まれていました.「多くの大学生は,もっと学びたくて,もっと成長したがっている.」そう実感しました.ここに「大きな可能性」があります.僕にとって大学は,そんな場になっていきました.

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いまは「自由」です.環境は自分次第で変化しうると思えます.自分が主体的に働きかける.責任をもつ,すなわち自分が原因であるという立場をとる.だから影響できる.扱える.そうすると,環境の方が変わってくる.自分のままでいれる.素直であれる.だから「自由」です.

 

 

■大学1回生に今伝えたい事

たかだか5,6年長く生きているだけなので自分が伝えたいと思うことが本当にためになるのか分かりません.なので,参考にはしても信じないようにしてほしいです.

という断りをした上で僕が伝えたいことは,
自分の目で見て,自分の頭で考えて,自分の意思と責任で行動する
ということです.

<知っているつもり>と<知っている>との区別をつけることが大事だと思います.<誰かの考え>と<自分の考え>の違いとも言えるかもしれません.

とは言ってみたものの,それを心がけようと決めたところで意味はありません.<意識を変える>はまだ何も変わっていません.<行動を変える>ことで意識も宿ります.ということで,独断的ですが,行動レベルでの提案を一つさせてもらおうと思います.

 提案: プラトンの著作を3〜5冊ほど読む

岩波文庫から出ています.Amazonやブックオフでも買えます.僕がプラトンを推すのは,その思想が好きとか哲学をすべきとかいう意味ではありません.ものを知るということ,論理的に考えるということを,まざまざと見せてくれるからです.右脳的に学ぶことができる,という感じでしょうか.ハーバード白熱教室で知られマイケル・サンデルの授業は,学生に質問を投げかけ,学生からの答えに基づいて議論を進めていきます.これはソクラテス・メソッドと言われたりします.そしてこのソクラテス・メソッドの原典が,プラトンの著作です.プラトンは「知識とは何か」を題材とした『テアイテトス』のなかで,ソクラテスに自らの対話の仕方を<産婆法>として語らせています.興味のある方は是非.

好みもあると思いますが,<学問する>場にいる人にとって,読んで損はないと思います.読んでみて何を言ってるのかサッパリということもあるでしょうが,僕も何のこっちゃ分からんと思いながら読んでいたので,ご心配なく.そのうち慣れます.

 

■今後の抱負

今後は2年間大学院に行きます.学部時代はいろいろと余計な活動に精を出してきたので,大学院では腰を据えてじっくりと学問したいです.そして専門と言える軸をつくり,社会に貢献していきたいです.

案の定ながながと書いてしまいました.最後までお読み下さり,ありがとうございました.

 

【 過去の卒業文集】

 ①大植編