ディベートで客観的思考を身につけよう!
その中には客観的な思考が求められる場面もあります。
ではそういった思考を上手く行うには
どうすれば良いでしょうか?
京大の人気講師、瀧本先生の本「武器としての決断思考」では
「客観的な思考の練習にはディベートは最高の練習材料になる。」
と書いてます。ディベートでは賛成意見と反対意見を戦わせ、
第三者がその意見を吟味します。
しかし、どちらの意見側につくかを自身では決めれません。
そのため、持論によらず自分のついた意見側を支持し、
相手側の意見に反論しなければなりません。
ゆえに賛否両論を客観的に考える必要があるのです。
さらに、ディベートを自分の頭の中で出来るようになれば
客観的な判断で意思決定を行うことが出来るのです。
そこで、今回は客観的な思考を練習するために議題を2つ用意し、
イベント形式でディベートを行いました。
ディベートのポイント
今回のディベートの議題は
「日本は新卒一括採用を辞めるべきか」と
「日本の大学は、入学後に所属学部を決めるべきか」の2つです。
そこで、参加者には事前に議題のメリットとデメリットを考えて頂きました。
メリットとデメリットを考えることで、相手側からどんな反論が来るかを考え、
その反論に耐えうる主張をチームで作るわけです。
ここで読者のあなたには、当日のディベート内容への反論を考えてもらい、ディベートを少しだけ体験してもらいましょう!
そのために当日の内容を見る前に、反論ポイントを軽く紹介します。
ディベートで主張に対して反論するには次の3点に注目します。
- 主張で述べられた問題は本当に起きるのか?
- その問題は本当に重大であるのか?
- その主張で本当に問題が解決するのか?
- 前提が間違っている。
- 根拠となる事例が少ない。
- 時間的な前後関係が逆。
- 特定の原因のみに着目している。
ぜひ当日の参加者の意見に反論しながら読んでいってくださいね。
当日ディベート
当日は、「賛成側立論→反対側立論→反対側反駁(反論)→賛成側反駁」
という流れでディベートを行いました。
ここで、出てきた意見への反論を考えるのは各段階の間に設けた作戦タイムの3分だけです。
実際のディベートでは反論を考える時間に制限があるのです。
議題:日本は新卒一括採用を辞めるべきか
賛成側は「現状の新卒一括採用を辞めるべき」
反対側は「現状の新卒一括採用をつづける」
という主張にたっています。
今回の参加者の議論では以下のような意見がでてきました。
賛成側立論 | 反対側反駁 |
---|---|
1.学生と企業のミスマッチを防げる。 | ミスマッチが増加する。 (受けようと思う企業数が減るため) |
2.就活と学業の割り切りが可能 | 時間的余裕を有効に使えるのは 金銭のある人のみなので格差が拡大する。 |
反対側立論 | 賛成側反駁 |
---|---|
1.若年の失業率が上がる。 (中途採用枠の人材、海外の人材とも競う必要性) | 海外とは就職時期が異なるので競合相手とならない。 |
2.企業側の採用活動・研修の費用が増大する。 | 研修費用は減る。 (インターン採用ならインターンで経験を積むため) |
3.学業への圧迫が小さい。 (現行のインターンは学校の長期休暇に集中している) | 学業との関係は論ずべき問題ではない。 (インターン採用で卒業後も就活できるようになるので) |
次に、審判チームとディベートチームを交代して2つ目の議題についてディベートを行いました。
議題:日本の大学は、入学後に所属学部を決めるべきか
賛成側は「入学後一定期間を経て(大学3年生くらいで)自分の専攻をきめるべき」
反対側は「現状のように、大学入学の際に自分の専攻を決めるべき」
という主張にたっています。
今回の参加者の議論では以下のような意見がでてきました。
賛成側立論 | 反対側反駁 |
---|---|
1.ギャップタームを作ることで学部のミスマッチを防げる。 | ギャップタームがあるだけでは、ミスマッチを防ぐ効果は薄い。 |
2.学生が多角的な考えを身につけれる。 | 多角的な考えは現行制度でも身につけられる。 |
3.大学に新学部が生まれる。 |
反対側立論 | 賛成側反駁 |
---|---|
1.大学教育の質が低下する。 (専門教育の期間が減る。 やりたいことが決まっている人にとって魅力がない) | 専門教育などは、社会に出てからも聴講できる。 |
2.大学の学問的な特色をアピールしづらくなる。 | |
3.社会で教養を活かせる部分が少ない。 大学側のコストが増えるだけである。 | 教養をつけたほうが、社会での問題解決能力が上がる。 |
どうでしょう、あなたなりの反論点は見つかったでしょうか?
この後、6人の審判による判定によって勝敗を決めた結果、
「新卒一括採用」は3対3で引き分け、「所属学部の決定」は2対4で反対側の勝利
しかし、審判のなかには「議論が平行線をたどっていて、判断が難しい」という意見も見受けられました。
さらに審判自体は第三者のため、最後の判断にはどうしても主観が入り込みます。
しかし、それでも問題ありません。
というのも、ディベートでは最後の判断にいたるまでに客観的に意見を検証してきました。
そのため、間違った判断をした場合、
間違っていた部分を論理的にさかのぼって検証しなおすことが出来るのです。
これは、自分の頭の中でディベート思考を行い、判断を下す場合でも同じなのです。
客観的に考えて、最適な答えを導きだすディベート思考は、きっとあなたの客観的な判断の助けとなるでしょう。
今回のディベートの方法には瀧本 哲史 先生の「武器としての決断思考」という本を参考にしました。
これを読んで、もっとディベートを知りたいという方はぜひ参考にしてください。
長文になりましたが最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
文責:中村